われわれが精力的に取り組んできた国際刑事裁判所設立条約・ローマ規程が、三月に衆議院で、四月には参議院で相次いで承認され、今年加入することが確定した。ローマ規程は国際司法裁判所と並び、世界連邦運動の思想の根幹をなすものである。このことは、一昨年八月二日の、「核兵器等の廃絶、あらゆる戦争の回避、世界連邦の実現への道の探究」を謳った国会決議以来の快挙であり、世界連邦実現への大きな前進である。
人間の安全保障には二つの原則、罪を犯す者を罰する仕組み(ローマ規程)と被害者を保護する仕組み(保護する責任)がある。ローマ規程への加入後は、保護する責任の中で銃などの小火器・小型武器の削減が日本政府の政策に反映されることが強く期待される。当協会としてはこれに積極的に取り組む。 国際刑事裁判所・ローマ規程の加入促進に貢献した、各自治体における請願運動や、国会議員の勉強会、ICC議員連盟、JNICC(国際刑事裁判所日本ネットワーク)の活動等の体験を、WFM本部及びWFM加盟の各国団体および協賛団体にアピールし、国会決議の世界化など世界連邦運動の具体的あり方として各国に実行することを要請する。
一昨年設立された「世界連邦実現への道の探究」を担当する部署である外務省総合外交政策局へは、上記にもとづき政策提言をひきつづき行い、外務省と緊密に連携し、国内はもとより、世界に対して強力な運動を展開する。
戦争放棄を謳う日本国憲法九条は世界連邦の思想、つまり世界法のもとにおける世界平和と表裏一体の関係にある。また人間の安全保障の観点からも、核および大量破壊兵器の廃絶に向けた全面完全軍縮をはからなければならない。それ以外に人類の共生と生存の道はない。そのために世界連邦実現に全力を尽くそう。
右宣言する。
二〇〇七年五月三十日
世界連邦運動協会2007年4月27日、参議院本会議は衆議院に続き、国際刑事裁判所設立条約(ローマ条約)を承認し、同時に国際刑事裁判所(ICC)に対する協力等に関する法案を可決した。したがって、われわれが長年にわたり、最重要法案の一つとして強力に推進してきた日本政府によるローマ条約への加入が、ようやく実現することになった。国際刑事裁判所はわが国の外交基本方針の一つである「人間の安全保障」を推進する上でも、また従来、犯罪の実行犯を不処罰のままに放置しておく「不処罰の文化」を一掃する上でも、重要な手がかりを得たことになる。
われわれは、国際刑事裁判所の今後の更なる発展に貢献するため引き続き努力する。たとえば、ICCを世界平和構築に向けて推進するに当たり、人道に対する罪などを犯した個人を罰する国際刑事裁判システムを人間の安全保障のひとつの一翼だとすれば、世界連邦運動(WFM)が最近、唱道している被害者を保護するシステム(R2P/保護する責任)は人間の安全保障の他の一翼だと言える。
「国連緊急平和サービス(UNEPS)」、「小型武器行動計画」および「武器取引条約(ATT)」などのプロジェクトは、世界連邦の理念に通じる取組みである。われわれはこうした課題の研究に挑戦し、実行可能な目標の策定を目指す。 さる2005年8月2日、日本国会は衆議院本会議において「世界連邦実現への道の探究」を謳った国会決議案を超党派議員による圧倒的多数で採択した。
この事実はわれわれ世界連邦者が1945年以来、抱いてきた60年にわたる悲願の結実であり、グローバルな世界連邦運動の歴史の中でも、前人未到の稀有な快挙であった。日本における世界連邦運動の中核団体である当協会が、各国に日本と同様の決議を行わせるべく活動することは、まさに当協会に与えられた使命である。2006年10月26日〜28日、WFMニューヨーク本部で開催されたWFM理事会で、日本代表がこの決議の世界化を求め、各国MOおよびAOの満場一致の採択を得たことはわれわれの記憶に新しい。
しかし、それだけに止まらず、当協会としても主要国での世界連邦決議が実現するよう直接的に働きかける。たとえば、ブラジルでは国内的に国会決議採択を目指す推進体制が整ったと聞いているので、同国側と緊密に連携して活動するなど、積極的に世界に対する国会決議拡大運動を展開する。
外務省に対する政策提言を継続的に実施することは、以上のさまざまなプロジェクトを推進する上からしても、現在の国内における世界連邦運動の根幹にかかわる重要プロジェクトである。今まで多岐にわたる検討がなされてはいるが、有識者会議の立ち上げが急がれる。
また、来る2007年8月27日〜31日には、スイス・ジュネーブおよびモントルーにおいて第25回WFM世界大会が開催される。この世界大会は、1947年8月23日、モントルーで開かれた第1回世界大会で、いわゆる「モントルー宣言」を発し、世界連邦6原則を明示したことを祝福するWFM創設60周年記念大会でもある。世界連邦国会決議の世界化を呼びかけるWFM日本としては、多数の連邦者が大会に集結することが求められている。
WFM国際事務局が昨年のニューヨーク理事会において、日本が呼び掛けた国会決議の世界化に異例の賛同の意を示し採択に導いた熱意に対し、われわれは応えなければならない。 さらに、組織強化・拡大プロジェクトについては、昨年は全国を10のブロックに分け、ブロック協議会をそれぞれの地域に立ち上げ活動を開始した。しかし、実効的な成果には結びついていない。
いままでは会員の老齢化が主要原因とされてきたが、各支部の会員が、日本こそ先頭に立たなければならないという意識改革を断行し、奮起する時だと言わざるを得ない。幸い最近の動きにそのような自覚的行動がみられ、前進の兆しがあることは、今後の発展に導く動因として見逃せない。
各支部は弱体化の現状を克服し、ブロック内で支部間の実効ある協力活動を推進し、当協会創立60周年を迎える2008年度に向けて、会員増加と支部新設の成果を確かなものとするため全力を尽くさなければならない。
具体的には、次のような活動計画に基づき本年度の活動を展開する。
【理論・政策】
世界連邦のモデルとして、益々拡大するEU、および東アジア共同体構想をはじめとする各地の地域統合の可能性を研究する。
【政治活動】
1.世界連邦樹立を我が国の国是とする歴史的な2005年の国会決議の可決を出発点として、世界連邦日本国会委員会を始め友好団体との緊密な協力をますます強化し、この問題遂行を共にする政府の窓口である外務省と緊密に連携し、国内はもとより、世界に対して強力な運動を展開する。
2.世界連邦建設の第一歩として、国連の根本的改革、全世界的強化を推進するよう国連ならびに政府に働きかける。
3.長年我々が推進努力してきた日本の国際刑事裁判所条約(ICC)への加入によって、世界法による世界平和の確立により貢献するよう政府に強く要請し、成果をあげる。
4.世界連邦宣言自治体全国協議会と緊密に連携し、市町村合併による弱体化を補強するため、世界連邦宣言自治体の増強のために懸命に努力する。
【組織】
世界連邦国会決議のうえに立って、これを組織の拡大に生かす努力をしなければならない。各界・各層への働きかけを積極的に行うが、地方議員などの参加を求めるよい機会でもある。各支部は組織の弱体化を克服するとともに、ブロック内で実効ある協力活動を行い、当会創立60周年の2008年に向けて、会員増加と支部新設の成果を確かなものとするため鋭意努力する。具体的には活動の重点を次の3点に絞って組織増強の実を上げる。
1. 一人が一人の会員を増やす。
2.全国10ブロックのうち活動態勢の整いつつある約半数のブロックは、夫々本年度中に1支部以上の新設を目指す。現時点で直ちに機能するに至らないブロックにおいてもブロック内消滅支部の復活のため活動を開始する。なおブロック内の新たな自治体宣言のためにも目標を立てて協力活動を推進する。
3.すべての支部は機関紙の発行、世界連邦推進ポスター・作文コンクールの実施乃至参加、寺子屋基金の実施を行い、また講演会などのイベントを開催する。本部はPR資料の提供、講演会講師の斡旋、オルグ派遣などで支部の運営や活動に協力するが、とくに派遣費本部負担のオルグ活動を積極的に行い、会員獲得などに協力するとともに支部の実体把握にも努める。
【教育広報】
1.「世界連邦ニュースレター」の内容充実を図り、世界連邦の理論・政策の伝達、平和教育推進のための効果的な媒体とする。
2.世界連邦に関する研究や教育活動の活性化と啓発を図るために啓発資料作成委員会を設け資料作成を行うとともに報道機関にアプローチする。
3.ホームページの内容の充実を図り、インターネットを広報・広聴の有力手段として活用する。
4.小中学生の平和ポスター・作文コンクールの一層の充実・発展を図り、本年も東京都庁展望室に展示する。また各地で優秀作品並びに世界連邦運動に関するパネルを展示し、世界連邦運動の拡大と平和教育の進展に努める。
5.ジュニア新聞「平和の風」を発行し、青少年に対する世界連邦思想の理解と平和教育の普及に努める。特に将来世界連邦運動を背負う青少年の育成をも視野にいれ努力する。
6.「世界連邦1日10円運動」を推進し、発展途上国の青少年の教育を支援する。
7.「世界連邦運動55年の歩み」を教育広報、会員拡大等に活用する。
8.理論政策委員会等と連携し、世界連邦の実現に向けた戦略調査を行う。
【国際】
1.来る8月27日(月)〜31日(金)、スイス・ジュネーブおよびモントルーにおいて、第25回WFM 世界大会が開催される。この大会は、WFMの前身である世界連邦政府のための世界運動(WMWFG)が1947年8月、「モントルー宣言」を発表し、世界連邦の6原則を内外に明らかにした史実を祝福する。
WFM創設60周年記念大会でもある。WFM日本としては、WFM国際事務局の期待に応えるためにも多数の連邦者が参集するよう広く呼びかける。
2.世界大会では、昨年10月、ニューヨークで開かれたWFM理事会で採択された「世界連邦国会決議」の世界化について各国MO/AOにアピールする。同時に、日本のICC加入促進運動についてその経緯を説明し、各国からの参加者に対して理解を求める。
3.政府の外交基本方針の一つである「人間の安全保障」を推進するため、世界連邦の理念に通じる取り組みである「国連緊急平和サービス(UNEPS)」、「小型武器行動計画」および「武器取引条約(ATT)」などの課題の研究に挑戦し、国会委員会に協力する。
4.WFM国際事務局から配布される議事録、最新情報、機関誌、その他の資料を翻訳し、「国際委員会通信」として、会員に配布する。また日本の主要活動を適宜英文に翻訳して会員に提供する。
5.東アジア各国(韓国、中国、モンゴル)、およびブラジルなどの世界連邦者と交流を進める。特に、ブラジルにおいては、世界連邦国会決議の採択を目指す。
【財務】
本協会の財政状態は、慢性的な赤字が続く危機的な状況にあるといわねばならない。この大きな原因は、基本的には会費収入が大幅に不足しているためだが、会費の大幅値上げをすれば会員が減少して値上げ効果を滅殺することになりかねない。そのため根本的には、会員数の大幅増加を図ることが最善の解決策となるが、それをふまえた上で、すべき課題を下記に列記する。
1.従来の有志会員からの浄財確保
2.本運動に理解のある財界や金融界の有力者から協力を仰ぎ、寄付金を集めて財政の弱体化を補強する。
3.会費納入が怠りがちな会員の実態を調べて、会費未納会員に対して未収金の徴集を精力的に図る。
4.財政を再建・強化する根本は、会費収入の増大を図ることであり、会員、特に維持会員と賛助会員(個人および法人)の増加について、本部・支部一体となって努力する。
5.機関紙の広告獲得に努力する。
6.以上、上記の課題解決が難しい場合には、会費の値上げを検討する。