平和な世界を目指して


 

世界連邦推進日本協議会 第三回 政策提言


200817

 

外務大臣 高村 正彦 殿

 

 第三回 世界連邦実現に関する政策提言

 

目  次


はじめに

提言1.日本政府が率先して地球環境対策に取り組み、人類の危機を 回避する行動の先導国家となること

提言2.ICCを通じて国際刑事裁判制度の発展に寄与すること

提言3.恒久平和構築の前段階としての軍縮に積極的に貢献すること

提言4.共通認識としたい世界連邦の諸原則

むすび 


世界連邦推進日本協議会

 

世界連邦運動協会

世界連邦日本国会委員会

世界連邦宣言自治体全国協議会

世界連邦日本宗教委員会

 

 

 

はじめに

 

  2007年12月17日の政策提言に対し2008年3月26日に丁寧なご回答をいただきましたことに改めて謝意を表します。
 さて、2005年8月2日の「国連創設及びわが国の終戦・被爆六十周年に当たり更なる国際平和の構築への貢献を誓約する決議」において、「世界連邦実現への道の探究」という文言が明記されました。これを踏まえて、「世界連邦実現を国是とする旨の閣議決定を行う」、あるいは「国連総会で首相・外相が世界連邦実現を訴える」ことを期待する声が世界連邦運動者の間で高まっています。   世界連邦の実現は容易ではありませんが、外務省を中心に政府が進めている「国連改革」、「地球環境の保全」、「人間の安全保障」などには「世界連邦」に共通する理念がありますので、これらをさらに推進する中で、漸進的に世界連邦が実現するよう、 政府の着実な努力を求めます。

 

 


提言 1. 日本政府が率先して地球環境対策に取り組み、人類の危機を回避する行動の先導国家となること

 

  人類がもたらした地球温暖化をくいとめ、地球環境を調和のとれたものに回復するのは、人類がはたすべき緊急の責務です。地球の温暖化が地球環境回復不能の臨界点を超える前に、世界の政治はもはや逡巡せずに地球環境回復の大事業に取りかからねばなりません。

2008年は、日本が大きな役割をはたして成立した京都議定書による義務遂行スタートの年となりました。京都議定書後の枠組みの策定が論議され、先の北海道洞爺湖サミットでも議長国日本のリードで前進があったことに敬意を表します。しかし、臨界点の切迫を意識して以下のような対策に日本が率先して取り組み、その誠意と実績を示しつつ世界をリードすることが肝要です。


1 CO2増加停止措置
(大気中のCO2濃度を290ppmにまで早急に下げることを目標に産業、交通など活動制限を含む全国民の緊急行動、炭素税の導入、3R(Reduce:減らす, Reuse:再利用 , Recycle:再資源化) イニシアティブの推進、バーゼル条約の趣旨を踏まえた監視体制を強化:リサイクル名目で途上国へ有害廃棄物が押し付けられないようにすること)


2 当面の災害防止措置
(風水害予防工事、防潮工事など)


3 環境技術の開発・普及、途上国への省エネ技術支援


4 緊急の森林造成や砂漠化防止の大規模事業


5 世界共通の環境教育の開発と普及

  日本は環境技術先進国として上記の課題に取り組むにふさわしい指導国家となるべきであり、かつ、それが国会決議に沿う「世界連邦実現への道」であると考え、提言します。  

 

 

 

提言 2. ICCを通じて国際刑事裁判制度の発展に寄与すること

 

1 ICC加盟国増進のための協力
  普遍的管轄権の確立およびアジア地域における加入国増進の働きかけとして、地域内各国で行なわれるワークショップなど政府・市民社会主催の国際会議に積極的に参加し、加盟国増進を促進すること。

2 侵略犯罪の定義に関する議論への参加
  ローマ規程見直しについての準備、とくに定義が難しいとして現在も議論の只中にある「侵略犯罪」の定義およびその適用について、日本から案を出すなどの積極的姿勢を見せること。

3 核兵器使用の違法化
  2009年以降のローマ規程検討会合にあたり、核兵器の使用をICCの管轄犯罪であることを明確にし、ローマ規程第8条戦争犯罪2(b)に核兵器使用を加えるよう提案すること。  

4 APIC特権免除協定への加入
  捜査当局(検察局)および弁護人などICC関係者らが国内活動で十分な協力を確保することができるように、特権免除協定(APIC)への加入を推進すること。

5 被告人権利保護のための法整備
  被告人の権利について定めるローマ規程67条に基づき、被告人の権利が十分に保障されるよう法整備を行うこと。

6 今後検討していただきたい課題

(1)国際的に活躍できる人材を育成すること
  昨年11月ICC裁判官補欠選挙においてわが国の斎賀氏がトップ当選したことを我々は高く評価しています。ただし、カテゴリーAの欠員に伴う補欠選挙にカテゴリーBの候補を出すという問題がありました。
  長期的に国際的に活躍できる人材育成に取りくみ、いかなるカテゴリーにも人材を拠出できる態勢を作り出すよう求めます。

(2)条約加入の際の国内法整備・精査について
  わが国はローマ規程の取りまとめには大きな貢献をしたにも拘らず、主に関係国内法の整備・精査を理由として条約加入を遅らせ、105番目にようやく加入することになりました。

 手続き法の整備は必要であったが、実体法の検討においては、おおよそ現実にはありえないような事態まで想定して必要以上に加入を遅らせる結果になりました。
  ローマ規程に限らず、あらゆる条約の加入において、わが国は関係国内法の精査に時間をとられ、加入を遅らせる傾向にあります。

 今後は条約加入の際は必要不可欠な国内法整備のみを行い、現実にはありえないような事態まで想定して必要以上に加入を遅らせないようにすることを求めます。それこそが日本国憲法前文・9条・98条などの国際協調主義に合致すると考えます。

 

 

 

提言 3. 恒久平和構築の前段階としての軍縮に積極的に貢献すること

 

1 核兵器使用の違法化
  核兵器「保有」の違法化は国際情勢の現状に鑑みて当面は困難でありますが、「使用」 の違法化は不可能ではありません。国際司法裁判所が示した勧告的意見にも見られるように、国家の存亡の危機の際についての明言を避けつつも、核兵器の使用を一般的には国際法違反としています。核兵器使用が違法である旨を明言する国際法の成立のために努力することを求めます。


2 クラスター爆弾

  クラスター爆弾について、オスロ・プロセスのダブリン会議において日本も含めた条約案の合意がなされたことを高く評価し、今後の対応として、我々は以下のことを求めます。

 (1) 関係国内法の整備、条約の批准、既に保有しているクラスター爆弾の廃棄が速やかになされること。

 (2) 平和国家として、「最新型」の保有をも可能な限り自粛すること。湿地等に落ちた場合に電気式自己破壊装置・自己不活性装置が設計通りに作用するかについて疑問が残り、作用しない場合は不発弾が自国民に被害をもたらすこととなる。このように考えると、最新型をも含めて保有しないことが望ましい。

 (3) 条約第5条の犠牲者支援の面で、日本がその優れた医療技術を生かし、積極的な貢献を行うこと。

 (4) 条約第21条に基き、非締約国に条約締結を奨励し、またクラスター弾を使用しないよう勧奨すること。


3 劣化ウラン兵器

  2007年国連総会において、劣化ウラン兵器の問題を国際的軍縮の課題とする決議が採択されたことを歓迎します。当面の活動として 

 (1) 劣化ウラン兵器に関する人体・環境への影響の調査研究の実施中において、同兵器の使用を自粛するよう積極的に訴えること。 

 (2)日本がその優れた科学技術を活かし、劣化ウラン兵器に関する人体・環境への影響の調査研究に積極的に貢献すること。

  を求めます。


4 武器貿易条約

  武器貿易条約(ATT)案が日本政府等によって提案され、現在国際社会において論議されていることを我々は歓迎します。 小型武器・通常兵器が女性・子供も含めた一般市民を犠牲にしている現状に鑑み、この条約が一刻も早く成立するよう、政府の積極的な働きかけを求めます。

 

 

提言 4. 共通認識としたい世界連邦の諸原則

 

 提言の前提となる共通認識として世界連邦実現の諸原則について簡単に紹介しますので、ご検討をお願いします。

1 「恒久平和」

  私たちが求める恒久平和は、三つの平和要件によって満たされます。

  (1) 戦争の起こらない仕組みのある平和 (人類の戦争放棄、世界連邦の実現)

  (2) 地球環境悪化の心配のない平和 (気候変動の危機を回避する地球的対策の実現)

  (3) 世界の人々がそれぞれの地でそれぞれの文化をもって喜び生きられる平和(人間の安全保障の実現)

 

2 恒久平和のための世界連邦体制

  恒久平和を実現する世界政治の体制は国会決議にいう世界連邦しかありません。

  世界連邦は六つの基本原則(モントルー宣言) による体制です。

  (1) 全世界の諸国・諸民族を全部加盟させる。

  (2) 世界共通の問題については、各国家主権の一部を世界連邦政府に委譲する。

  (3) 世界法は一人ひとりの個人を対象として適用される。

  (4) 各国の軍備は撤廃し、世界警察を設置する。

  (5) 原子力は世界連邦政府のみが所有し、管理する。

  (6) 世界連邦の経費は各国政府の拠出ではなく、独自財源でまかなう。

  その世界連邦を目指して以来、約60年の間に世界は以下のような大きな変化ないし経過がありました。

   @ 国連憲章第109条3項による1955年総会の憲章見直しは、国連改革による世界連邦実現の機会として注目されたが、世界情勢から先送りが余儀なくされ、今日までなされていない。

   A国連創設後は国連総会を世界的な総会に近づける努力が続けられ、全194ヵ国のうち192ヵ国の加盟が実現し、世界全体が参加する会議の実質をそなえるに至っている。

    B ヨーロッパの政治統合の歩みが進められ、世界連邦実現の有力なモデルとみなしうる姿を示している。

    C 世界法のモデルともみられる国際刑事裁判所が開設され、活動するようになった。

このような進展の中で、各国内のことは各国に任せつつ、世界課題については世界連邦政府が国益調整の壁を超えて公平・迅速・効果的に対応できる「連邦原則」と、上位共同体は下位共同体が目的を自ら達成できるときには介入してはならず、上位共同体は下位共同体が目的を自ら達成できないときには介入しなければならないとする 「補完性の原則」が恒久平和に不可欠であることが見えてきました。

これら二つの原則により各国政府の力にあまる国内治安や気候変動等の災害対応に必要な支援を的確・迅速・効果的にできることになります。 更に、世界連邦は各国が軍備を持つ必要をなくするシステムですから軍事に要した膨大な費用を各国の民生に向けられるばかりでなく、地球的な災害対策も含めて世界的課題の解決に振り向けられて国益・世界益がともに進み、人類の危機を救うことができます。

  このように世界連邦は全世界のどの国にもどの民族にも多大な実益をもたらします。

 

3 軍の役割の変化と世界連邦実現に必要な世界警察

  世界連邦は各国が軍備を持つ必要をなくするシステムです。世界連邦実現のためには、全世界の軍備撤廃の可能性への確信が必要です。軍備撤廃の過程には、どの国もすべての武器を破棄し、すべての兵員の軍務を解いても、国家・国民の安全が確実に護られるという安全弁が必要です。   その安全弁となる世界警察軍を構成することが必要です。その際、近年、軍の役割が平和構築や警察行動に変わってきていることに注目し、現在ある軍をどう活用するか、 日本の自衛隊をどう貢献させるか、の検討が必要です。

4  世界連邦憲法

  世界連邦は当然法治共同体として世界連邦憲法を必要とします。その日本政府案がどうしても必要です。

 

5  地球環境保全に緊急に必要な世界連邦体制

  生命の根源である地球に人類がもたらしつつある地球温暖化をくい止め、気候変動等の脅威を避けることは、世界政治の課題です。その緊急性はIPCC(気候変動に関する政府間パネル)の第4次報告、その他諸機関や識者のつとに強調するところです。

  この課題に対しては、国益調整を第一とする現在の態勢ではなく、地球益、世界益を第一とする世界連邦体制による公平、迅速、効果的な対応が必要です。

 

6  世界連邦推進国家日本の存立と使命

  日本国家はもちろん日本の国土・国民の安全と福祉を護り、日本文化を守り育てて国民の喜びを増進するための共同体です。しかし、世界の人々と地球を共有し、共生する世界共同体の一員としての責任もあります。その世界共同体にはまだ「恒久平和」を実現する世界連邦の仕組みがありません。その仕組みの創立を先導するに適した国家は日本をおいて他にありません。

  日本政府は2005年の「政府は、日本国憲法の掲げる恒久平和の理念のもと、唯一の被爆国として世界のすべての人々と手を携え、核兵器等の廃絶、あらゆる戦争の回避、世界連邦実現への道の探究など、持続可能な人類共生の未来を切り開くための最大限の努力をすべきである。」と明記された国会決議に基づき、外務省に世界連邦を担当する部署を指定しました。これはその先導国家として名誉ある使命を国家目標とするスタートについたことを意味します。

  この国家目標は国連においても、どの国との交渉においても日本外交の基軸とするべきです。世界に最も大切な恒久平和に貢献する国家として尊敬に値するばかりでなく、国民にとっても誇るに値する国家像となるからです。  

 

 

むすび

 

 2005年8月2日に衆議院で、政府に世界連邦実現への道の探究を求める決議が採択されて3年余を経過しました。その間外務省に世界連邦を検討する部署が指定され、国際刑事裁判所の批准達成、軍縮問題への対応の前進などがありましたことを喜び、ご努力に敬意を表します。今回は切迫する地球環境保全の問題、国際刑事裁判制度の発展に寄与する課題、および軍縮に関わる兵器の問題について、世界連邦を見通した観点から提言いたしました。また、共通認識としたい世界連邦の諸原則の検討をお願いしました。特段のご高配をお願いします。                          
        以上

 

                         

 

世界連邦推進日本協議会

 

 

植木 光教 世界連邦推進日本協議会会長 
         世界連邦運動協会会長

森山 眞弓 世界連邦日本国会委員会会長

四方八洲男 世界連邦宣言自治体全国協議会会長

田中 恆清 世界連邦日本宗教委員会会長